「アウシュヴィッツの音楽隊 」ラックス、クーディー 著大久保喬樹訳

本日もご覧いただきありがとうございます。

・・・・
ホロコースト

第二次世界大切において、ナチスドイツ軍が行った、ユダヤ人大量虐殺のことを指します。

ホロコーストについての本は、たくさん出版されています。
中でも、夜と霧V・Eフランクル著は、世界中で最も読まれている本として有名です。

本書は、ごく普通の音楽家が、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所のなかで、「音楽家」「演奏者」として、どのように生き抜いたかを、生還後、本にしたものです。

大量虐殺の為の強制収容所と音楽。
一見、まったく無関係のように思われます。

私も長い間、そう思っていました。
若いころ・・・
この本に出会い、驚愕したことを覚えています。

今あらためて読み直してみました。
21世紀になり、年老いた分、あの頃気付けなかったものがあったように感じています。

「アウシュヴィッツの音楽隊 」
シモン ラックス ・ ルネ クーディー (著),
大久保 喬樹 (翻訳)
音楽の友社

1

著者は二人です。
二人は、同じ収容所で、音楽隊に所属し、生還しました。
フランス、パリで再会し、二人の記憶をもとに、「私」という、1人のサクソフォン奏者を通して執筆されたそうです。

「私」は、フィクションですが、それ以外は、実話です。

日本では、音楽之友社から「アウシュヴィッツの奇蹟~死の国の音楽隊」として、1974年に初版が出ました。
本書は2009年、同じく音楽之友社から、改題、新装版として復刻出版されたものです。

戦時下、次々とヨーロッパ全土に拡大した、ドイツ軍強制収容所内には、それぞれに、収容者による「音楽隊」が、ドイツ軍によって組織され、活動していたことは、戦後のさまざまな検証によって、確認されています。

本書は、その中のアウシュヴィッツ・ビルケナウ第二収容所に、「音楽隊」が実在した記録です。

彼らは1年中毎日、朝、収容者たちが強制労働に出かける時、夕方戻る時に、看守による人数の把握を容易にするために、必ず演奏させられていました。

求められて〈音楽好きの〉将校の宴席でも演奏しました。

カポと呼ばれる、収容者の古参や、権力者の為の誕生パーティーや、記念日にも、演奏することを義務とされていました。

そのことにより、音楽隊のメンバーは、生き抜くための知恵と技術を身につけ、様々な収容所内の「経済活動」にも関わっていきます。

1

■内容から

音楽隊の中にも、ガス室へ行くか、音楽隊に残すかの「選別」があったこと。

楽器や譜面台などの工面に、一夜にして「消滅」させられたチェコ人たちの「音楽隊」の備品が配られたこと。

「音楽隊」は、ユダヤ人だけでなく、多くの人種による構成だったこと。

食べること、強制労働から生き延びること、必要な物資を手に入れること。
収容所のなかに、「市場経済」が実在していたこと。

ありとあらゆる手段をこうじて、「生き残るための音楽活動」をしてきたこと。

その中にも時として、純粋に「演奏家」として音楽の世界があったこと。

ドイツ人と音楽の深い関係、敗戦が色濃くなっていく過程、
そして・・・解放。

1~22の目次の中で、淡々と、具体的に。
時に感情を伴い、悲嘆にくれ、希望を見ながら・・・
記録された本です。

■本書より

「僕はよく、人間の耐えられる苦しみの限界はどこらへんにあるんだ?と、考えたもんだ」

「この頃の僕は、ありとあらゆる死の条件にさらされていたんだ。
それはもう本当に、生理的に"耐えられない"状態だったんだ。

だが僕は、耐え抜いた。
他の連中と同じように・・・・」

「僕の場合は、どんなことがあっても、自分から死ぬことだけはすまいと、堅く自分に誓っていたんだ。

ここの全てを体験し、見て、全てを学んで、全てを記憶したいと思っていた。
何のために?

その結果を世間に向かって、知らせる機会など、決してくるはずもないのに。
分からない・・・

ただ僕は、自分をこの世界から消したくなかったんだ。
自分の生きてきた、証人であり続けなければならなかったんだ」

「私たちは、毎日、"死の行進"のための演奏をし、ドイツ人の好みの曲を演奏した。

しかし時として、隠れて、懐かしい母国の曲や、音楽的価値の高い曲の練習に打ち込めた。

そんな時は、ひたすら、この世界だけが現実なのだとの想いに浸ることができたのだ」


・・・・・
復刻にあたり、訳者、大久保喬樹氏は、その「まえがき」の中で、こう述べています。(抜粋)

「アウシュヴィッツの音楽隊」で、淡々と語られるエピソードは、それ自体としては、異常であっても、ささやかなものだ。

しかし、半世紀以上を経て眺めなおしてみるなら、そのささやかな個人的体験は、確実に、巨大な歴史ドラマに通じるものだと、私はあらためて思い直すのである。

無論、そんな理屈ばった背景など抜きに、ちょうど30年あまり前の私のように、ただ、驚くべき音楽と人間性のドラマ、として、読んでいただけるのでも十分、21世紀にあらためて刊行する意味があると思う。」


・・・・・・・
■この本は出版元からご購入いただけます。
音楽之友社ネット通販

■ホロコースト全体像に音楽がどういう形で関わっていたかを、楽譜や歌詞を収集しての研究をまとめた本もあります。こちらに記事にしています。
「ホロコーストの音楽」

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東京都出身。元、公立中学校教員。
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