「アンネの日記」書かれなかった義姉の想い

〈アンネの日記〉 

アンネ・フランク(1929~45)は、ナチスのユダヤ人迫害から逃れるため、アムステルダムの隠れ家に家族とともにこもりました。
アンネは1944年に逮捕され、ドイツの強制収容所で15歳の生涯を閉じました。

隠れ家での生活、戦争や家族への思いをつづったこの日記は世界的ベストセラーになり、60以上の言語に翻訳されています。
この本は、戦後、収容所から生還した、父親が、出版しました。

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アンネと同い年で、のちに義理の姉となった、エバ・シュロスさんの「物語」
「アンネの日記」の後の世界の、もうひとつの「日記」です。
・・・・・
アンネはナチスの強制収容所で命を落としましたが、エバさんは生還しました。
2015年4月。
ロンドンにある自宅で、エバさんは、義妹アンネへの複雑な思いと激動の半生を語りました。
(朝日新聞-2015/06/10より)

■義理の姉妹になった理由

戦争中、ナチスから逃れるために、アンネ一家はドイツから、エバ一家はオーストリーから、オランダに逃げました。
その時、偶然にもアパートが向かいで、同い年の2人は知り合います。

同時に、エバさんもアンネ・フランクと同じように、隠れ家での生活に入ります。

その後、ナチスにとらえられ、2つの家族は、ポーランド南部のアウシュビッツ強制収容所へ送られます。

戦後、再びオランダに戻ったとき・・・・

アンネ一家はお父さんだけ生き残りました。
エバ一家は、お母さんとエバが生還。
その後、アンネのお父さんと、エバのお母さんが再婚し、2人は「義理の姉妹」になりました。

当時のエバ・シュロスさん。
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現在のエバ・シュロスさん(86)。
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「アンネには、少女とは思えない、どこか近寄りがたいオーラがありました」
「11-12歳で、男子に興味があり、3つ年上の私の兄に、しきりに会いたがっていました」
・・・当時のアンネの印象をエバさんは語ります。

「"アンネの日記"は、重荷だった。その後の私の人生は、まさに『アンネの影』でした」

「アンネの日記」がオランダで初出版されたのは、終戦直後の47年。
父オットーさんが出版しました。

「オットーは、アンネを救えなかった自分を責め続けた。アンネが残したメッセージに救いを求めた」と、エバさんは考えます。

しかし、当時のエバさんの心に、アンネの言葉は「響かなかった」と語ります。

なぜなら、アンネが日記の中で「人間の本性は善だと信じている」と書いていても、エバさんは「これは、収容所での経験をする前に書かれたものだから」と思わずにはいられなかったからです。

収容所には冷酷なナチス将校だけでなく、生き残るためには他人を顧みない収容者もいました。
エバさんは、極限状態の「人間の本性」を見せつけられて、生き延びたのです。

アンネに執着する、継父オットーさんへの複雑な思いもあった、と語ります。

「この世にいないアンネばかり注目され、生き残った私は苦しみを抱えて生きている。それが許せなかった」

「世界中の人が、アンネを覚えている、でも、私の大事な父や兄のことは、誰も覚えていない」

苦しむエバさんに、救いの手を差し伸べたのは、他ならぬオットーさんでした。

オットーさんは、「人を憎めば自分を惨めにするだけだ」と、エバさんに諭し続け、エバさんの心は、少しずつ、ぬくもりを取り戻していきました。

「私はアンネに嫉妬していたのです」・・・

・・・・・・・・・・

ETV特集
「エヴァの長い旅~娘に遺(のこ)すホロコーストの記憶~」
2016年4月9日放送
再放送 2016年4月16日


この番組は、この戦争体験がもとで、娘さんたちと分かり合えなかったエバさんが、2016年、娘さんとともに、戦後初めて訪れた、アウシュビッツ強制収容所への旅をとりあげた、ドキュメンタリーです。

ここでも、エバさんは「想い」を語ります。

アンネの日記が、世界的ベストセラーになったことについて・・・
 
「世間の人たちが、なぜ〝隠れ家の話〟にのみに強い関心を示すのかが分かりませんでした。『それ以上の内容』に踏み込みたくはなかったのだと思います」

「あまりに悲惨な事実は、受け止められない。人は聞きたくないのです」

エバさんは長い間、収容所体験を人前で語ることも、娘さんたちに語ることもしませんでした。

「元収容者の多くは偏見を恐れて過去を語りたがらなかった。子どもたちに重荷を背負わせたくなかったのです」

ガス室へ送られる悪夢。
家族の最後の姿。
エバさんのトラウマは、深刻なものでした。

転機は40年以上たった86年。

ロンドンで「アンネの日記」のイベントに招かれ、促されるままに収容所体験を初めて告白しました。

聴衆は衝撃を受け、「アンネの続編」を書いて欲しいという依頼が殺到。
迷った末、受け入れ、著書を発表しました。

エヴァの時代―アウシュヴィッツを生きた少女
エヴァ シュロッス (著) 吉田 寿美 (翻訳)
新宿書房

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エバさんは現在、国内だけでなく、ドイツにまで「語りべ」として、体験を若い人たちに積極的に語っています。

ドイツ人の若い世代の中には、祖父母の世代が、ホロコーストに関わった人たちもいます。

そんな時、エバさんは、語りかけます。
「祖父母のしたことに罪の意識を感じることはないのです。ただ歴史を学び、それを忘れないでいてほしい」
 
エバさんの娘さんは、「母のことを初めて理解できた気持ちです」と、涙を流しました。

・・・・・・・
エバさんの「想い」。

広島・長崎での被爆者の方々の「その後」の暮らしの中でも、同様のご体験を耳にしたことがあります。

想いはひとつではない。
改めて、考えさせられました。

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Author:ogatamayumi
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東京都出身。元、公立中学校教員。
現在は、フリーとして、音楽教育や吹奏楽に関わっています。
このブログを通じて、音楽や教育、吹奏楽やその他、心に感じた事柄をみなさまにお伝えできればと思います。
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