吹奏楽フレキシブル楽譜の問題点

フレキシブル楽譜

近年、この言葉を良く耳にするようになりました。

ある楽曲に対して、パートを固定、指定するのではなく、いろいろな楽器で演奏可能な作りになっている楽譜のことです。
(演奏する楽器は、そのパートの中で指定された楽器であればどれを選んでも良い、というものもあります)

フレキシブル・・・柔軟にということです。

理由は「現場からの声」が大きいようです。

近年少子化が進み、学校全体が小規模化、統廃合が進んでいます。
その影響を受けて、吹奏楽部の人数も小規模化しています。

そうなると、演奏したいと思っても、従来の楽譜通りには演奏できません。
複数の楽器を持ち替えることで、少人数でも大編成の曲を演奏しているバンドもありますが、それはごく一部です。

指導者が自分で、チームに合ったように編曲できる場合も、多くはありません。

演奏したい曲があっても、誰にどう振り分けて良いのか分からい。
どんなパートが演奏しても、曲として成立する楽譜がほしい。

・・・・そういう現場の声です。

現在では、いくつもの楽譜出版社、吹奏楽関係の会社から、出されています。

現状の中から「商品化」されている、この試み自体はひとつの方向性として、良いことだと思います。

だがしかし。
その「使い方」に、疑問も残ります。
(あくまで私見です)

審査員として、夏、冬にお招きいただくと、多くのこういった作品に出合います。
プログラムに、そう明記してあるわけではありません。

同じ曲名で、演奏団体によって、編成が異なり、音楽もまったくちがうので、分かるのです。

違和感なく、演奏の中の「音楽」を聴ける場合は、何の問題もありません。

問題は「違和感」があるとき。

■突然、旋律が消える
■フルートやクラリネットなどの木管に、旋律がバトンタッチされたとたん、金管の伴奏が追い越してしまい、流れが遮断される。
■突然、ハーモニーがなくなる
■全員が同じ音量で演奏するために、曲の全体像が見えない。
■打楽器だけが分離する

・・・・・こういった違和感です。

これらは、演奏する子どもたちの問題ではありません。

選曲についての基準はどこにあるのか。
なにか・・・無理をさせていないだろうか・・・


ここで、指導者側の問題を、冷静に考えることも大切だと思います。

■自分のバンドの状態と、個性、技能を考慮する
■その楽曲のあるべき「姿」を理解する
■どういう音楽にしたいのか、を明確に理解する


・・・・そういった、指導者側の努力が、あと少しほしいと思うのです。

どんなパートに振り分けても大丈夫。
この楽譜は、そういう前提で、出来ているのだから。

・・・そんな安易な安心感はないでしょうか。

作曲家は魔法使いではありません。

特に、フレキシブル楽譜のような特異な楽譜の場合。
その「料理法」は、現場の指導者の手にゆだねられているのだと思うのです。

2014年に来日した「ウィーン・ヴィルトゥオーゼン」。
たった10人で、古典からロマン派まで、オーケストラの曲を、みごとに「まるでオーケストラのように」演奏して、聴衆を圧倒しました。

もちろん、世界一流の演奏家によるものでしたが、私たちに、アンサンブルの本質を教えてくれた気がします。

その時の記事はこちらをご覧ください。
ウィーン・ヴィルトゥオーゼン

私たち自身が、こういった「学び」や「体験」をして、「引き出し」を増やす努力も大切なことだと思うのです。

この種の楽譜は、まだまだ開発途上であると思います。

主役は、子どもたち
大切なのは、音楽

指導者・作曲家・出版社が、ますます検証を進め、発展されることを、切にお祈りいたします。

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違和感

お疲れ様です。

本日、奈良県のアンサンブルコンテストにおいて
いくつかの団体が、フレシキブルなアンサンブルに取り組んでおられました。

ある団体では
編成が、フルート、サックス、クラリネット、トランペット、ホルン、ユーフォ、チューバ、打楽器の8人での演奏。

まず思ったのは
音が溶け合っていない事
あまり流れに関係の無い打楽器など
何故、こんなアンサンブルに
取り組むんだろうか?
という疑問というか違和感というか…

あくまでも私見ですが
アンサンブルに
取り組むんだったら
木管なら木管の柔かいハーモニーを
響かせるなど
それぞれの楽器の特徴を活かす
アンサンブルに取り組んでいただきたいと思います。

フレシキブルバンドやるなら
吹奏楽コンクールで小編成で
出場しませんか?

意見には個人差があります。

開発中の分野でしょうか

緒形先生、ごぶさたをしております。昨年は多忙を極めておりまして過労気味でした。いまは少し元気になっております。

このフレキシブル楽譜ですが、私のところでもアンサンブルコンテストで取り上げました。おっしゃる通りの問題点を肌で感じました。作曲なさった方に生徒の実情に合うように手直しもしていただきましたが、やはりうまくいきませんでした。

こういうフレキシブルなアンサンブル曲を積極的に作っていらっしゃる作曲家の作品を取り上げたプロの演奏も聞きました。縁あって、このような方々のご意見や研究成果を伺うことができました。

私の学校でやったのと同じ編成の演奏を聞きましたが、プロの演奏は流石でした。音楽性や今までとは異なるアンサンブル技術のより一層の工夫が必要だと思います。

ヴォーン・ウイリアムズの「イギリス民謡組曲」の楽譜が、このような編成で出ていますので、取り組んでみたいと思っています。
プロフィール

ogatamayumi

Author:ogatamayumi
緒形まゆみブログへようこそ!

東京都出身。元、公立中学校教員。
現在は、フリーとして、音楽教育や吹奏楽に関わっています。
このブログを通じて、音楽や教育、吹奏楽やその他、心に感じた事柄をみなさまにお伝えできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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