「小学4年生の世界平和 」ジョン・ハンター

ハンター先生は、小学校の先生です。
アメリカの、公立小学校の先生です。
35年間・・・子どもたちの「可能性」と、向き合っています。

ハンター先生は言います。
「子どもたちの発達は、"今"の知識や成績といった、"スナップ写真"ではなく、つねに"知らない"という余白を追及して作られ、継続される"アルバム"のようなものである」(本書P391より引用)

小学4年生の世界平和 (ノンフィクション単行本)
ジョン・ハンター (著) 角川書店 1728円

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ハンター先生の授業は「特別」です。

何が特別か・・・・
■テストがない
■評価がない
■クラス全員が役割を担って、全員が責任を持って参加する。
■結果は目に見えない
■先生自身が「答えを知らない」


授業の名前は
「ワールド・ピース・ゲーム」(世界平和ゲーム)


小学4年生の1クラス全員が、世界平和を目指して奮闘する、ゲーム(授業)です。

私は、ハンター先生を、TED(スーパープレゼンテーション)で知りました。
何よりも、その「お人柄」にくぎ付けでした。

本書は、ハンター先生の授業の全容を、具体的な事例紹介によって、説明がされているものです。

今、世界はいたるところで紛争が起き、戦争がやむときはありません。
環境汚染、環境破壊も深刻です。
人口問題、格差問題。
資源問題、原発問題。
宗教・文化の違いによる差別、紛争。
火山の爆発、津波、ハリケーンなど自然災害も悪化しています。

この授業では、子どもたち1人1人が、4か国に分かれ、それぞれの問題に取り組みます。

ルールはひとつ。

■最後には、4か国が全て平和になり、国家が赤字にならないこと。
そのうえで、週一時間、10週間にわたり、授業が展開されます。
ハンター先生が出す課題は、今の世界情勢と一緒です。
子どもたちは、この難題に立ち向かいます。

本書の中での子どもたちは、「英才教育クラス」ではありますが、様々な問題を抱えています。
内気な子、短気な子、わがままな子、挫折したことがない子など。
その1人1人が、奇跡のような瞬間を、「仲間」と共に経験してゆきます。

この授業に対して、「自分も実施したい」と、たくさんの問い合わせがくるそうです。
ハンター先生は、本書の中で、こう語っています。

■対象となりえる子どもたちの資質
1、一定の「知的スタミナ」を持っていること
・・・・「知識」ではなく、問題にじっくりと取り組める頭のスタミナ

2、自分と大きく異なる、他のメンバーと、建設的に関われること
・・・・自分と違う価値観、考え方を受け入れられること

3、行き詰ってしうことを、避けようとするできること
・・・・ストレスをうまく対処し、協力し合える

■この授業を行う「教師の」資質
1、カリスマ性
2、思いやり
3、壁のない人間関係
4、創造性
5、忍耐
6、気付く力

また、授業の流れの中での、子どもたちの共通する過程を次のように述べています。

■学習の7つの段階(プロセス)
第一段階・・・過大な負担に困惑する
・・・・問題を知って圧倒される

第二段階・・・失敗をおかす
・・・・ここで「教えてはいけない」教師の忍耐

第三段階・・・・1人1人が理解する
・・・集団の中の誰かが気付き、それが広まってゆく

第四段階・・・コラボレーションする(協力)
・・・・個人の力ではどうすることも出来ないことを知り、仲間と一緒にやろうとする

第五段階・・・「ぱっ!と」ひらめく「クリック」
・・・・悩み、討議してゆく中で、ある時突然、バッと目の前が開け「なるほど」と理解する

第六段階・・・流れに乗る
・・・・「私」ではなく「私たち」で問題を解決するんだということを気付くと、解決へ全員が集中し、流れてゆく。

第七段階・・・理解を実践に帰る
・・・・解決の方法論を理解したら、あてはめて「活用」するようになる。


◎これらの過程は、例えば子どもが、自転車に乗れるようになるまでの過程や、赤ちゃんが歩き出すまでの過程を想像すると分かりやすいと述べています。

「考える余白(スペース)」
・・・・ハンター先生が一番大切に思うことです


アメリカとは教育のシステムが違うから・・・無理。
・・・確かに。

しかし私は、この「考える余白が大切」という考え方は、吉田松陰の「松下村塾」の姿勢に、とても似ていると思いました。

知識を得ることが目的なのではなく、知識を得、見識を深め、何んでもいいから、自分の「知らない余白」のために、それを使う・・・
素晴らしいと思います。

・・・残念ながら、アメリカにおいても、成績至上主義は同じようです。

ハンター先生の授業は、「評価できない」「すぐに結果が目に見えない」「点数に換算できない」という理由で、正規の教育課程から外されました。

そこで先生は、教育課程外・・・日本でいうと「部活動」の位置づけで、現在はこの「授業」を行い続けています。

良い成績を取らせる教師が有能。
良い成績をとる生徒が優秀。

・・・・日本でも同じ構造なのだと感じました。

ハンター先生の授業は、先生にしかできない。
まして私は音楽科ですから、正直、本を読んでも、授業の実際は、分かりません。

しかし、その「精神」「教育者としての使命」は、世界共通のものであり、それぞれの教師が、教科に関係なく、自分の個性の中に取り入れられる「ヒント」がたくさんあると感じます。

すばらしい本でした。

同時に、TEDでのハンター先生のプレゼンも是非、お勧めいたします。

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■ハンター先生の、TEDでのプレゼンテーションは、こちらから動画をご覧ください
ジョン・ハンター先生のプレゼンテーション・TED

■著書はこちらからもお求めになれます。電子版もあります。
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プロフィール

ogatamayumi

Author:ogatamayumi
緒形まゆみブログへようこそ!

東京都出身。元、公立中学校教員。
現在は、フリーとして、音楽教育や吹奏楽に関わっています。
このブログを通じて、音楽や教育、吹奏楽やその他、心に感じた事柄をみなさまにお伝えできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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